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企業間取引・調達活動へのインターネット活用は部門トップの意思決定から(経営革新 調達改善 企業間取引)

 
  この導入事例紹介は架空の中堅製造業企業・エフピ工業での調達改善の取り組みをわかりやすく紹介したものです。ある日、エフピ工業の加藤製造社長は調達本部長・伊藤購入氏に戦略的な調達業務の改善を命じます。
伊藤調達本部長がとった選択は...
 
 
 
 
 

1.ある調達本部長の悩み

 エフピ工業は、創業30年の部品メーカです。従業員80名。社長は加藤製造氏、創業の12年前に生まれ42歳。社長に就任して4年。父である先代は4年前より会長職についていました。エフピ工業は欧州に向けて特徴のある電子部品を輸出しています。国内メーカの電子部品や材料を組立加工して欧州に輸出していましたが、最近は中国の企業と新たに電子部品の企業間取引を開始することにしています。中国から輸入した部品を組立て加工して欧州に輸出するのでした。業態は少々小さいのですが特徴のある部品を開発できたおかげで、欧州の大手優良企業からの取引が続いていて、利益も毎年必ず出していました。

 エフピ工業の調達本部長、伊藤購入氏は社歴17年46歳。地道に実績を挙げ5年前に調達部員約15名の責任者になりました。
 ある日の朝、伊藤本部長加藤社長より次のような指示を受けました。

「伊藤本部長。製造原価と業務費の低減に対して調達本部として戦略的にどのように寄与できるか考えてくれたまえ。」

「わっわかりました!」
伊藤本部長はそう答え、やや困惑しながらも強い緊張感を感じていました。

問題は山積である。しかし社長の期待を一身に受けていることは確かだ、何とか応えたい。まず社長の経営戦略について考えてみよう、どうせ取り組むならば企業としてのポリシーとして徹底的にやってみたい。伊藤本部長の調達改革への挑戦が始まったのでした。

伊藤本部長は腹心の部下である調達企画課課長の後藤購太氏36歳を実務的な中心メンバーとした調達改革プロジェクトチームをつくりました。ブレーンストーミングなどを行い実行課題を整理しました。

伊藤調達本部長は、ITの活用方法について綿密な調査を行いました。情報ソースはインターネットのホームページです。詳しく調査を進めていくとその最新の状況が分かり始めてきました。インターネットを使って注文をしている企業の中に、エフピ工業と同じくらいの業態の会社で実際にインターネットを使って取引先と納期や単価回答の情報を入手している会社があるようだったのです。

 
 
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2.課長・後藤購太 事例調査に没頭す

伊藤調達本部長はさらに、後藤購太課長に導入事例を突っ込んで調べさせていました。ある日、伊藤調達本部長はそろそろ加藤社長にIT活用の効果について報告しなければならないと感じていました。

伊藤調達本部長
「後藤課長、先日いっしょに出席した購買改善事例のセミナーだが報告書はまとまっているだろうか?」

後藤課長
「本部長、いま作成しようとしていたところです。提出は本日中でよろしいですか?」

伊藤調達本部長
「それでOKだ。」

後藤課長
「わかりました。」

後藤課長は少し緊張しながらも手馴れた操作で効率よく報告書をまとめていきました。
「よし、単価未決定品の発注業務を改善し、単価の確認遅れをなくし社内承認フローも電子化したO社の事例をまとめて」

後藤課長
「つぎに注文の到達をスピードアップし納期確認業務を改善したR 社の事例はここへまとめ」

後藤課長
「よし!できたぞ。」

 

後藤課長の報告書によると、ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)という事業者がインターネットシステムを運用しており、利用企業はそこと契約すれば取引先との情報の交換をすぐに開始することができるような事例があるということでした。

また、一部の事例によってはASP事業者と仕入先企業が別途有料契約しなければ取引先企業がサービスを利用できないというケースもあったのですが、詳しく調べると有料利用契約は発注企業だけがすればよく、取引先はIDの数分の少額の料金を発注企業が負担すれば自由に取引先の数を増やしていけるような形態のASPサービスも稀に存在していることがわかってきました。


さっそく伊藤調達本部長はプロジェクトの中心メンバーである後藤課長に指示し、これまでは購買業務の大前提であった、注文書を社内の購買管理システムから社内のプリンタで紙出力を行い、取引先の宛先を確認して仕分けしてFAXしたり郵送したりしていた事務作業工数や通信費を金額化してみることにしました。その結果、想像以上に経費が生じていることがわかりました。

 
 
 
 

3. 調達本部長の決断

伊藤調達本部長後藤購太課長にインターネット調達システムASPを導入した場合の工数削減効果を含めてまとめさせました。また、最も取引の多い取引先2社と実際に無料トライアルサービスを利用して取引を行い、その効果予測の妥当性を検証することを決断しました。

加藤社長への最終報告は、そのトライアルサービスを実施して効果予測の精度をあげた上で行うこととしました。

 
 
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4.なぜ電子化することが重要なのか

 通常はメーカにおいては生産管理システム内や購買管理システム内までは注文データとして電子化されているのですが、これにインターネットを利用した企業間取引対応の調達システムという機能を付加しなければなりません。これによって、従来社内で一度紙になっていた注文情報を電子の状態のまま取引先へ到達させることができるようになります。従来は電子で到達させるにはVAN(付加価値通信ネットワークサービス)などの取引先にも費用負担の大きいしくみにたよらざるをえなかったところが、インターネットの登場により、この状況はいっぺんしました。しかし、このしくみを既に稼動している生産管理システムや購買管理システムといった基幹業務システムに導入しなければなりません。このアプローチには大きく分けて以下の2つあると思われます。

(1).新規にインターネット対応Web購買管理システムまたはそのような機能を有する生産管理システムを構築する
(2).既存の生産管理システムまたはインターネット非対応購買管理システムにインターネットWeb調達システムを追加する


 それぞれのアプローチにはメリットとデメリットがあります。

(1)の場合は注文に関連する品目情報のマスタや注文データが同じシステム内にあるため、外部システムとの同期ということは必要なくなりますが、購買管理システムは購入要求データ情報として、生産管理システムは生産所要情報として、その他のデータ属性をいろいろ保持しているため、新規再構築の場合はインターネット連携まで含めて設計するとデータ構造が複雑なものに肥大化してしまう可能性があります。

(2)の場合のメリットは調達データベースを生産管理システムや購買管理システムと切り離すことにより、自由度の高い調達システムを新規に構築することができます。しかし、注文データを既存の購買管理システムから同期・更新しておかなけらばなりません。どちらを選択するかは発注企業の事情によって異なるでしょう。

 いずれにせよ取引先にで取引個別契約の書面を発行しなければなりませんが、この書面において紙を使うほど無駄なことはありません。紙に記録するということは、紙に書くという人手と紙から別のメディアに転記するという人手と2重の無駄が発生するわけです。特に製品を構成するあらゆる部品・半部品の組み立てや加工といった膨大な手配注文情報が紙であった場合の人件費などの損失は甚大なものとなるでしょう。また、単価や納期を人手を介して転記するということから、数値の誤記が万が一生じると、情報の信頼性が著しく損なわれるというリスクも存在します。
 一度発生させた情報は最後の目的まで、人手による転記を介さずに電子的に伝達させることが肝要です。

 
 
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5.なぜWebシステムなのか

 コンピュータシステムの歴史をカンタンに振り返ってみると、メインフレームなどの大型コンピュータシステムが1960年代から稼動しているわけですが、1980年代後半からオープン系のクライアントサーバ型と呼ばれるシステムが急速に発達しました。

 メインフレームなどのホスト系コンピュータでは他社製の機種とは通信できない独自のネットワーク手順を使ったり、独自の文字コードを使うなどの面がありますので、メーカの異なる機種同士でデータを交換することはとってもたいへんだったのです。

 それに比べて、UNIXやWindowsといった基本ソフトが稼動する小型のコンピュータのシステムでは、業界で標準化され仕様が公開されたプロトコル体系や文字コード体系により、メーカの異なるコンピュータ同士でのデータ交換性が飛躍的に高まっていきました。この特質から、このころ登場したコンピュータシステムをオープン系システムと呼びました。

 しかし、Webシステムが出現するまでのオープン系システムには次のような問題がつきまとっていました。

・コンピュータハードウェアを制御する基本ソフト(OS・オペレーティングシステム)の版(バージョン)が変わると、その上で動作するソフトウェアが処理する基本ソフトへの命令の一部が使えなくなることがあり、新しい版(バージョン)の基本ソフトに対応させてソフトウェアを書き換えなければならない必要がたびたび生じた。

・Webシステムでないシステムは個々のコンピュータにソフトウェアを格納する必要があり、基本ソフトの版改定に対応したソフトウェアの新しい版をその都度入れなおさなくてはならなかった。これは台数の多い企業では深刻な問題であった。

・基本的に社内のネットワークでしか利用できなかった。(ネットワークの通信速度が今ほど速くないためもあって)

などです。


ところが、1990年代の中ごろより登場したWebシステムは

・Webブラウザと呼ばれるホームページ閲覧ソフトウェアの閲覧機能の範囲で業務機能を使用する関係で個々のコンピュータに独自の業務ソフトをしっかり入れる必要が少なくなった。

・OSがバージョンアップしてもブラウザがその機能の差異を吸収するのでそのまま使える場合が多かった。
 (ネットスケープのようにブラウザ自体のバージョンがあがると仕様が変わって従来のプログラムが使えなくなるという例もあるのでどんな場合でも完全に使えるというわけではない。)

・当時の低速なインターネットを介して通信しても遠隔地のサーバと通信して業務システムを構成することができたので、企業内システムだけでなく、企業間取引の連携システムとして実用的にかつ安価に運用できた。
(これはホームページを閲覧する基本的なしくみによるもので、ブラウザが処理を要求するとホームページサーバがテキストベースのファイルを返信してブラウザの画面を変化させて、ブラウザの画面がそのままの間はサーバとは基本的になにも通信しないという特性のおかげでした。)

といった特徴を備えたコンピュータシステムです。これもオープン系システムの上に成り立つシステムのひとつでありますが、従来のオープン系システムをクライアントサーバ型システムと呼び、Webシステムと区別する場合があります。

ホームページ閲覧のしくみで画面が構成されるため、基本ソフトの上にみっちり作りこまれた従来のオープン系システムに比べて、細かいキー操作ができないなどのデメリットもありましたが、上記のメリットのが大きいため飛躍的に利用されるにいたったのです。


 なんといってもインターネットを使って国内どころか海外の企業とも瞬時に連絡がとれるという面はビジネスに活用しない手はありませんでした。従来の超高額な維持費のかかった専用線接続(契約された地点同士以外は通信しない)に変わって、どこへでもデータは巡回してしまうけれども、とっても安価なインターネットを、暗号化して使うという方法が進展しました。今日、128ビットSSL(セキュアソケットレイヤー)による暗号化は一般的になっていますので、セキュリティ策を適切に講じてある環境(データセンター)で適切にサーバが運用されれば、インターネットは企業の競争力を強化するのです。

 
 
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6.重要なコンセプト

 インターネット調達システムASPの重要なコンセプトは

・ 既存の生産管理システムや購買管理システムを根本から再構築する必要がないこと
                                         (スタートアップの早さ・安さ)
・ 取引先にも自社が提供した電子情報を活用できるサービスを提供すること
                                         (Win-Winであること)

にあります。

 とりわけ、取引先の参加、情報提供が必須なので、取引先に負担を与えず適切な頻度と精度で情報を提供していただける協力関係をつくることが肝要です。

 取引先に快く協力していただく最も重要なポイントは、取引先にも情報をインプットすることによってメリットがあることにあります。また、ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)のサービスを利用する場合、取引先には利用の上で費用負担が無いことが望ましいのです。

 
 
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7.インターネット調達システムASPの具体的機能概要

 エフピ工業では、これまでインターネットの調達システムをまったく使ったことも見たこともなかったのですが、調達改善活動を始めた結果、インターネット調達システムASP利用導入という積極的な方策の採用となりました。では、インターネット調達システムASPのしくみを具体的に見てみましょう。
 
 インターネット調達システムASPでは、インターネットのホームページが閲覧できる環境があれば、取引先はすぐにシステム参加できます。

 発注元企業は生産管理システムや購買管理システムなど基幹システム内の注文データをテキストファイルで出力すれば、インターネット調達システムASPへ自動的に注文・見積・納期確認などの取引情報を更新することができます。(実際には中継のコンピュータがテキストファイルを処理します。このコンピュータは普通のパソコンでかまいません。)
 
 取引先はインターネット調達システムASPのホームページ画面をブラウザで表示し、そこでIDやパスワードを入力して認証を受けて(このようなことをログオン・ログイン・サインインするなどと言います。)、所定の画面へ移り、注文書を印刷したり、見積や納期などの回答情報を入力します。ブラウザ画面から直接情報を登録することができます。


 インターネット調達システムASPのブラウザ画面では個々の取引先の状況情報をクリックすることにより取引先の注文書印刷状況や見積納期回答情報を閲覧することができます。回答内容に不備がある場合は再回答をブラウザ画面から要請することもできます。また、発注元企業では自動受信機能を使って回答情報を人手を介さずに生産管理システムや購買管理システムに反映することができます。

 
 
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